Sep 05, 2009
きらびやかなシャンデリア
シャンデリアという言葉を知っていると言う人も多いと思います。また、実際に見たことがあると言う人も多いでしょう。シャンデリアは、ガラスなどで作られたきらびやかな照明のことです。日本ではあまり多くはありませんが、外国に行けば、一般家庭でも見ることができます。古い宮殿などでは非常に高価なシャンデリアが飾ってあるのも珍しくないそうです。シャンデリアといえば高級な感じがするが、近くで見ると、小さな電球一つ一つの集まりであり、並んでも比較的単調だ。彼らは良いことですが、電球自体は高級感は伴わないので、期待すると失望する。そのような細かい構造が気にならないくらい遠くから見て最初の見所があるのだ。考えると、我が家の天井にはシャンデリアを見つけるには低すぎることである。
最近、オーディオファンの間で「PCオーディオ」「ネットワークオーディオ」といった言葉が流行している。手持ちのCDをリッピングしてライブラリ化したり、パッケージメディアより高音質の音楽配信サービスを利用して好みの音楽ファイルを入手してPCやネットワークプレーヤーで再生する。実践したみたいと考えているオーディオファンも多いのではないだろうか。今回は、最新刊「高音質保証!麻倉式PCオーディオ」(アスキー新書から8月10日発売予定、780円)を書き上げたばかりの麻倉怜士氏に、最近のオーディオのトレンドやPCオーディオのTipsを語ってもらった。
【麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」:“麻倉式PCオーディオ”のススメ】
――前回は音楽配信サービスのトレンドやPCオーディオの基本について伺いました。後編ではPCオーディオを実践する上のTipsを聞かせてください
麻倉氏:前回、PCはオーディオプレーヤーとして造られていないことを指摘しました。今回は具体的な注意点を挙げていきたいと思います。本書をしたためるに当たっては、とにかくPCの音を良くする可能性がある事柄だったら、何でも(マユツバでも)試してみました。実際、何かをするとこれほど劇的に音が変わる(良い方にも、悪い方にも)オーディオなど、最近、みたことありませんね。
まず、常駐ソフトの類は知らないうちにPCのリソースを多く消費しています。実際には音楽信号を再生するだけのリソースがあればいいのですが、いらないトコロにリソースを食われていると、音質的には実に良くありません。例えるなら、頭に使うべき栄養が筋肉に回っているような状態で、こうした損失をいかに減らすかが重要ですね。先ほど「専用のPCで」と言ったのも、そうした事情からです。
もう1つは、OS標準のミキサーをいかに通らないようにするか。カーネルミキサーは、PCが出すすべての音を管轄する部分で、例え96kHz/24bitのデータが来ても、お知らせチャイムのような低いパラメーターの音声があるとそれに強制的に統一されてしまいます。これを外すことができれば良いのですが、Windows XPまではその機能がなく、「ASIO4ALL」などのサードパーティ製のアプリケーションを使わなければなりませんでした。一方、Windows Vista以降は、「WASAPI」(Windows Audio Session API)を標準装備して対応デバイスやアプリでカーネルミキサーをバイパスできるようになりました。良い音を聞く場合はこれらをオンにすることが必要になります。
また、オーディオファンにとっては常識ですが、振動は音の大敵です。PCというのは、オーディオ用途をまったく考慮せずに設計されているため、ここの気配りはさらに重要です。始めから良い音を出すための機能を備えた専用プレーヤー機器とは全く違うことを認識しておきましょう。
麻倉氏:逆にいえば、筐体のレベルから構成を少し変えてあげるだけで、それまでとは大きく違う結果を得ることができます。例えば、制震的なスタビライザーを置くだけでもずいぶん違う。またHDD上に楽曲ファイルを置くのか、RAM上に置くのかでも音は変わりますし、HDDをSSDに変えても結果は異なります。いかに良い音にするか、いろいろ試してみるのも面白いテーマではないでしょうか。
もちろん、ケーブル類や電源、USB DACなど外付け機器の違いでも音は変わってきます。さまざまなオーディオ的な視点で、ボトルネックになるものを1つ1つつぶしていく。そうすることで、最初はにぶい音しか出なかったPCも、一流のCDプレーヤーに匹敵する音を出すことが可能なのです。
楽曲ファイルをフォーマットごとに聞き比べる楽しみ、ハードウェアをいじる楽しみなど、PCオーディオの楽しみ方はさまざまです。オーディオファンならチャレンジしてみる価値のあることだと思いますね。
それは往年のファンにとっては、かつて熱中した自作オーディオの復活であり、ネットワーク世代の若いファンにとっては、ITリテラシーがそのまま生きる楽しい趣味です。自らの才覚で音質をどこまでも上げられるからパソコンオーディオはたのしいのです。その非常に細かなところまで今度の本では実験しています。ぜひ読者のみなさんも、個性溢れた新オーディオ世界を探訪されることをお勧めします。
ネットワークオーディオについても、ヤマハやリンなどのメーカーがプレーヤーの個性を競っています。もともとCDプレーヤーのような回転する機構を持たないアドバンテージは大きいですし、再生操作に関する利便性は高いです。CDプレーヤーでは、曲の頭出しなど、1枚のCDの中でどう聞くかというレベルでしたが、現在のネットワークプレーヤーは複数アルバムに渡ったプレイリストを保存できるので、ジュークボックス的な楽しみ方もあります。
こちらもオーディオ的なアプローチで手を加えれば、音は確実に良くなってきます。最初からオーディオ機器として作られているので、PCほど劇的な変化はないのですが、オーディオ機器としてどう扱うのかはやはり重要。従来からのオーディオテクニックを使うことで、より良い音が楽しめることでしょう。
最後にもう1つ、音楽配信のトレンドを紹介したいと思います。例えば「e-onkyo music」をはじめとして、DSDフォーマットによる配信が始まっています。DSD音源を聴くと、従来のリニアPCMとはかなり音の調子が違うことに気付くはず。より豊潤で暖かい音がすることもあり、同じ音源でもPCMとDSDの両方を配信していたりします。その違いもPCオーディオを楽しむ上では面白いテーマになると思います。
USB DACでDSD対応の製品がないのは残念ですが、今後はDSDのストリームをPCから出力するという流れになると考えています。またクリプトンの「HQM Store」では5.1ch配信も始めました。マルチチャンネルの楽曲を聴くには、今のところAVアンプで聞くしか手段はありませんが、オーディオのマルチチャンネルが配信でも楽しめるようになりました。2chのハイクオリティー、プラスマルチチャンネルの臨場感も加わり、ネットワーク配信で得られる世界もより広がることでしょう。
●おまけコーナー「麻倉怜士のネタ帳」
――ノンジャンルで“お気に入り”の製品を紹介する不定期おまけ連載「麻倉怜士のネタ帳」です。
麻倉氏:以前、東和電子(Olasonic)のUSBスピーカー「TW-S7」を“PCオーディオの入門機として最適”と紹介しましたが、少し補足したいと思います。
今回の連載で取り上げたWindowsのOSミキサージャンプですが、TW-S7のようにUSBオーディオとして認識されるアクティブスピーカーなら接続するだけでジャンプできます。TW-S7のDACは特別に高級なチップを使用しているわけではありあませんが、OSミキサージャンプの恩恵だけを考えても利用価値は高いでしょう。音質面ではアナログ接続に比べて、しなやかさが増し、フォーカスも上がり、音場の情報量も増えました。
●楽曲検索の進歩
麻倉氏:もう1つ、最近印象に残ったのが、Gracenote(グレースノート)の楽曲検索です。グレースノートはCDのメタデータの世界最大の提供業者。最近開かれたGracenoteの製品説明会に出掛け、個人的に感動したのが、楽曲判断機能です。
ラジオを聴いていて、テレビを見ていて、あっこの曲、素敵と思っても、曲名が分からないことが多いですが、曲が終わってから、名前を紹介してくれる親切な放送局は意外に少ない。そんな時はなんだかすっきりしない。すごくいい曲だったのに曲名が分からない。CDも買えないし、二度と聞けないとなると、余計に悔しくなりますね。
現在、各キャリアのスマートフォンに入ってグレースノートの楽曲判断機能は、曲の特長をデータベース化して、マイクを通じてクラウドベースでマッチした曲を教えてくれるというものです。しかも、検索結果から音楽配信サービスにリンクしていて、そのまま購入することもできます。
なぜ感動したのかというと、かつてのソニーのアイデアが、さらにスマートになって登場したからです。それが2000年に登場した「eMarker」(イーマーカー)。専用端末の「EMK-A5」は、曲名を知るペンダントのような端末です。ラジオやテレビを視聴していて「あっこれ!」と感じたら、即座に端末のボタンを押す。この時、端末内蔵のメモリーに日時時間情報が蓄積されます。次に、端末とPCを付属のUSBケーブルで接続し、専用サイトにアクセス。するとメモリーされた時間情報から、その時にその局(あらかじめサイトによく聞き,見る放送局を登録しておく)でかかっていた曲名や演奏者名がすぐに分かる、という仕組みでした。
このサービスを考え付いたソニーの担当者は、学生時代にFM局でアルバイトをした時に、リスナーからの曲に対する問い合わせが非常に多かったことから発想したといいます。はじめは、ラジオ番組にサブチャンネルを設け、今聞いた曲をすぐにダウンロードできる仕組みを考えたということですが、これではラジオにPCが入ったようなもので高価格になります。そこで、必要な機能をどんどんネットに持っていき、ついに究極の姿として、ハードはこれ以上小さく、シンプルにしようのないペンダント型となり,機能はサービスに付託することで、総合的な機能を果たすという成り行きになったのです。今回のグレースノートの楽曲判断機能は、それをさらにさらに進化させたものですが、とにかく曲目を知りたいというニーズはいつも普遍です。
ソニーの「キュリオシティ」などでは、グレースノートのレコメンデーション機能もくわえ、気分によって異なる楽曲をお勧めしてくれます。私が欲しいのが、コード進行による感動の違いを判断してくれる機能。例えば、ハ長調でいうとC AmとC Eはまるで感情が違います。C Amはメジャーからマイナーに移るドラマティック感がありますが、C Eはダイアトニック(音階音)進行ではなくノンダイアトニック進行なので、深い感情が喚起されます。グレースノートはCDの分析には長けていますが、今後は、もっと音楽自体の深い分析にも進むべきでしょう。
【芹澤隆徳,ITmedia】
【関連記事】
“麻倉式PCオーディオ”のススメ(前編)
テレビ内蔵の“全録”が新しい世界を拓く REGZA「ZG2シリーズ」
4K×2Kがやってくる
スーパーハイビジョンが見せた不思議な立体感
ペンタックス、「PENTAX Q」用ユニークレンズ
WriteBacks
writeback message: Ready to post a comment.